エボラ隔離対策・医療従事者の感染予防

 英国の高度隔離ユニット・HLIU (High Level Isolation Unit)に英国人最初のエボラ患者(医療従事者)搬送され、治療中との情報が一昨日、ロンドンのRoyal Free Hospitalからありました。昨年、英国大使館での環境消毒のトレーニングに招聘したICN、イヴォンヌ・カーターさんのいる施設であり、英国で唯一のHLIUがここにあります。

 エボラは基本、接触感染なのでこれほどの設備が必要かどうかの議論はあると思いますが、このHLIUの注目のポイントは、医療従事者が重装備のPPE(個人防護具)をケアの度に装着する必要がない様に設計されていることです。手だけじゃなく体ごとすっぽり入れます(写真参照)。エボラの致死率を考えれば、医療従事者には高いレベルのPPEが求められますが(処置によっては飛沫やエアロゾルも発生)、これらを実際に装着してケアにあたる医療従事者の身体的負担は相当なものとなります(暑く、息苦しい)。装脱着にもかなりの時間を要しますので、患者が急変した場合等、緊急時にシールが不十分な状態のPPEで対応してしまうというリスクも排除できません。エボラの感染経路からすれば、既存の一類感染症病室で十分対応可能かと思いますが、同時にその致死率を考えれば安心して患者をケアできるHLIUを国内に一定数、整備することも今後は必要かもしれません。この英国のHLIUもここに2床あるのみであり(現在、Newcastleで増設中)、もっと増やすべきとの議論もあるようです。

 WHOによれば、8月25日の時点で240名以上の医療従事者がエボラウィルス疾患(EVD)を発症しており、120名以上が死亡しているとのこと。言うまでもありませんが、医療従事者の安全が守られなければ、アウトブレイクを抑えることはできません。

ロンドンのロイヤルフリー病院の高度隔離ユニットHLIU 上半身ごとすっぽり入れる
(画像:ABC Newsより転載)

高度隔離ユニットHLIUの内部

高度隔離ユニットHLIUの概要

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