米国出張・サンディエゴ・ICRA

 今回の出張中、サンディエゴのラ・ホイア(La Jolla)という高級住宅街にある病院で工事封じ込め(PCRA, ICRA)の研修(Dust Buster Training)を受けました。

座学による講習以外に、実際のICUでの改修工事現場にて研修
大型HEPAファンユニットにより、確実な陰圧を実現

 以下はメモランダム;

・院内にESD(Environmental Safety Department:環境安全部)が組織され、CIC(感染管理認定)の看護師をマネージャにエンジニア他、7名が専従。外部委託業者に対する研修、監理監督を担当。日本でいう医療安全の中で環境整備に特化したイメージの部署。

・院内で作業する外部委託業者は全て次のヘルス・スクリーニングを受けなければならない:結核、MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹)、水痘、Tdap(破傷風、ジフテリア、百日咳)、インフルエンザワクチン


・トレーニングの項目は、PPE(個人防護具)の選択・着脱、ダストコントロール、空調管理、廃棄物処理、騒音・振動制御、封じ込めバリア手法、陰圧制御、清掃、搬入搬出経路等の遵守、ICRA (Infection Control Risk Assessment)等

工事現場入り口にはCICによる感染予防チェックリスト、許可証、作業者の要求PPEレベルを表示


・ヘルス・スクリーニングおよび研修を受講した者のみにIDバッジを支給。このバッジない業者は作業はおろか、院内に入ることすら許可されない。
受講証を兼ねたIDバッジ

職員専用クリニック

・院内に従業員専用のクリニックを持ち、上記のヘルス・スクリーニングを実施、費用は全て病院持ち。このクリニック内にはN95レスピレータ(マスク)のフィットテスト専用部屋もあり、4社のN95を各サイズ用意して常時フィットテストも実施していた。

クリニック内にフィットテスト専用ルームも完備


 ちょっとびっくりしました。ちなみに米国でもここまでやっている施設は稀です。ただ、全米最大の病院グループがこのESDの導入に動く等、大きな流れの一つではあるかもしれません。病院機能評価の国際基準でもあるジョイント・コミッション(JCI)でも工事封じ込め対策、ICRAの実施は必須項目となっており、アスペルギルス等の真菌類対策は日本と米国ではまだ温度差があるようです。

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