パンデミック

フェーズ3。WHOが定めた新型インフルエンザ発生を警戒する段階が6段階中、3段階(フェーズ3)に達しています。鳥からヒトへ感染するH5N1型インフルエンザの感染症例が止まらず、連日、インドネシアやベトナム等で発症、死亡が報告されており、ヒトーヒト感染が現実化する(フェーズ4〜6)のも時間の問題だとされています。国立感染症研究所によるとインドネシアでは確認されているだけで既に120例の鳥インフルエンザが報告され、その内、98例が死亡(致死率82%!)という異常事態です。

厚生労働省は、今年3月までにプレパンデミックワクチン2000万人分を製造し終え、今月にはさらに1000万人分追加することを決定しましたが(合計3000万人分)、抗インフルエンザ薬やワクチンへの対応は、国および自治体がコスト負担して備蓄が進められているのに対し、医療機材(N95、ガウン、グローブ等の個人防護具PPE等)に関しては、現在のフェーズ3の時点で「指定医療機関に対し確保に努めるよう要請する」に留まっており、医療機材に関しては万全とはとても言いがたい状況です。

現在国内で流通しているN95レスピレーター等の個人防護具PPEは、私たちの製品も含めてほぼ100%が輸入品であり、世界的なパンデミックが発生すれば、品薄となるのは必至です(SARSの時は日本中のN95が無くなり、インターネットで心ない業者が定価の10倍位で売ってました)。日本では米国NIOSH規格のN95が主流であることから米国製のモノが多く輸入されていますが、誤解を恐れずに言わせていただければ、新型インフルエンザを同時多発テロと同等の「国家安全保障の課題」と捉え、最優先で対策を講じている米国が、パンデミックの際に他国にN95を出す余裕があるか疑問です。

感染管理のプロフェッショナルを自任する私たちモレーンでも、社内にパンデミック対策会議を設置し、来るべき有事に備えてPPEの備蓄や情報提供の方法等の検討を開始しています。小さな会社一社でできることは限られていますが、決して諦めず、我々ができることを実践していくつもりです。
64万人。厚労省が想定する新型インフルエンザによる国内の死亡数。この最悪のシナリオは、抗インフルエンザ薬やワクチンも重要ですが、正しい知識と情報、適切なPPEと手洗いでかなりが回避できると信じています。

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