リネンからの感染事故

ブログがちょっとご無沙汰してしまいました。反省です。
前回、日本環境感染学会のプログラムを題材にしてコメントすると予告いたしましたので、遅ればせながら少し触れさせていただきます。

展示をしながらだったので、学会のプログラムを十分に受講する時間がなかったのですが、その中でも特に印象に残ったのが、「Bacillus Cereusと病院感染対策 ーリネンをどこまで重視すべきかー」でした。昨年起こったアウトブレークの結論から言えば、清拭タオル類がB.Cereusに高度汚染され、さらに血管カテーテルの操作管理にも問題があり、血流感染を起こして菌血症に至ったとのこと。

この悲しい事故があった際、当社にも沢山のお問い合わせをいただきました。「80℃10分間の熱水消毒では芽胞産生菌であるBacillus属菌には無効、滅菌しなければ!」などなど...。
現実問題として全てのリネン類を滅菌することは不可能であり、B.Cereusは環境に広く存在することから滅菌自体、無意味であると言えます。大切なことは、B.Cereusをゼロにはできないが、可能な限り清浄・消毒レベルにもっていくこと。洗濯業者さんとのコミュニケーションを密にし、洗濯工程および管理体制を把握することが肝要です。口答の確認だけでなく、感染対策のメンバーが実際に委託先洗濯工場を見学することをお勧めします。洗濯機の仕組みやリネンの保管、搬送の体制も百聞は一見にしかずです。
今回は、洗濯業者さんの連続式洗濯機の管理に問題があり、洗浄消毒後のリネン類が高度に再汚染していたという事実と医療施設側の血管カテーテルの管理に問題があったことが重なった複合的な事故でしたが、このことが、今後このような不幸な事故が二度と起こらない教訓となることを願います。

ちなみに英国では1992年に同様のアウトブレークが発生し、その教訓から英国保健省がリネンのアレンジメントに関するガイドラインHSG(95)18を発行しており、連続式洗濯機の危険性の指摘と同時に設備の運用管理に関しても詳細に記載しています。

汚染リネンのマネージメントに関しては、当社にも相当のノウハウの蓄積があると自負しています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

ちょっと触れるつもりが長くなってしまいました。最後までお読みいただき有難うございました。次回は、個人的なことではありますが、ちょっと事件が...。

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