医療用グローブ・手袋の話

 
医療用グローブの「フォーマー」と呼ばれるセラミック製手型。

 マレーシアに出張中です。今は夕方ですが、暑いです。気温33℃。
医療用グローブの新しい製造ラインのスタートアップのため、2泊&機内1泊の強行軍で来ています。
 意外と知られていませんが、世界の医療用グローブの60%以上が実はここマレーシアで製造されています。日本の医療施設で使用されているグローブ(医療機器承認済み)もそのほぼ100%が輸入品で、ここマレーシアまたはタイで製造されているのです。今回もモレーンが製造ラインを委託している工場で新しい製品の仕様や製造方法、品質管理手法の確認をプロジェクト・チームで行っています。日本・マレーシア・英国の混成チームによるこの製造ラインは現時点で世界最先端であると自負しています。現地工場のマネージャも皆若く、色んなアイディアが次々に出てきてプロジェクトが正直言って、楽しい。みんなの目が輝いてます笑。彼らの立ち止まらない好奇心と努力によって、完成されていると思われていた医療用グローブにも多くの技術革新、イノベーションが生まれています。 
 GDP成長率が前年比6%というマレーシアの国自体にも活気、勢いを感じています。

 ちなみに少し裏側をお話しすると、グローブ製造はグローバルな変動要因に大きく左右されます。現在日本でも主流のニトリル製医療用グローブは、従来のラテックス天然ゴムとは違い、石油化学製品の合成ゴムなので原油価格下落の影響を受けますが、通常、メーカーは原料の価格変動のリスクを回避(ヘッジ)するために一定量を一定の価格で買い付ける保険契約の一種であるデリバティブという取引きをしています。これにより原料価格の変動が直ちに製品価格に反映されることはありませんが、製品価格は原油価格だけでなく、為替リスクや世界各国の需要・情勢等、その他の変動要因にも影響され、非常に微妙なバランスで成り立っており、我々メーカーも日本の医療施設に少しでもリーズナブルで高品質な医療用グローブを安定してご提供するために繊細な舵取りが要求されているのです。

 感染予防に欠かせない医療用グローブ。大量に消費するだけにコストが重要なのは言うまでもありませんが、医療従事者・患者を病原体から守るための防御性能・品質とともに、使いたい時に素早く、無駄なく取り出せる運用プロトコルまで、我々医療用グローブメーカーができることはまだまだ、たくさんあります。

クアラルンプールの象徴、ペトロナス・ツインタワー。すぐ近くのホテルに宿泊しました。
 マレー料理は、インドネシア料理と似ていますが、マレー系、中国系、インド系と多民族国家だけに食文化も多様でおいしいく、食べ物で困ることはありません。日本食も近年、特に若い世代の人たちに人気のようです。

ナシゴレン

ターリー

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