モレーン・アカデミー

先週、日本医科器械学会が東京の国際フォーラムで開催されました。今回はこの学会との共催で教育講演およびランチョンセミナーを企画、また、前日には英国大使館のご協力で大使館ホールにおいてアカデミー(セミナー&レセプション)を実施したのですが、準備も含め本当に嵐のような2週間でした。

この講演のために、医療器具の洗浄消毒に関する世界的権威であるK.L.氏をドイツからお招きし、また、英国からは、当社が総代理店であるMedisafe社の学術担当ディレクターM.J.氏が同時来日して、世界の洗浄・消毒をリードする欧州の最新情報をお届けしました。

汚染された使用済み医療器具をいかに安全に洗浄、消毒、滅菌し再生するかということは、院内感染を防ぐ上で最も重要なミッションの一つです。医療技術の進歩によりロボット手術をはじめ、手術器具もその構造が日々複雑化しており、洗浄が困難になってきています。一般的にはあまり知られていませんが、この分野では医療技術の進歩に反比例して、感染のリスクは確実に増大しているのです。

今回我々が海外からの重鎮を招いて(けっこう無理してます、涙)セミナーを実施した背景は、この増大しているリスクへの対策に問題があると感じていたことにあります。キイワードは、ずばり「バリデーション(検証)」! 欧米ではこれらのリスクに対し、医療用洗浄機器は国際基準であるISO15883、ASTM(米国材料試験協会)、AAMI(医療器具振興協会)等でその性能要求要件が厳格に定められており、その性能を実際に第3者機関によって検証(バリデーション)することが要求され、設置後もその性能が維持されているかどうかを定期的にバリデーションすることが求められています。ISOやASTMのスタンダードコミッティのメンバーでもあるK.L.氏やM.J.氏の言葉は、非常に説得力があり、患者と医療従事者の安全を考えれば当たり前の事を言っているだけに過ぎないかもしれませんが、私にとっては非常に衝撃でした。

この当たり前のことが日本では...。残念ながら国際基準はおろか医療機器製造販売業の届け出すら出していない洗浄機器が市場に出回っているのが現状です。また、設置後の定期的なバリデーションにメーカーがどこまで真剣に取り組んでいるかどうか。我々メーカーがやるべき事とは...!スミマセン。つい、力が入り過ぎてしまいました。ちょっと頭を冷やします。続きは次回。

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